三章

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コレットはアレクシアとエルザにミリアクト伯爵家で何があったのかを説明するために口を開く。 数週間前までは、あの時のことを思い出すだけで震えてしまうくらいだったのに今はきちんと話すことができるのはヴァンのおかげだと思った。 「信じられないわ……!なんてひどいの」 「コレット様の立場を無理矢理奪うなんて……ミリアクト伯爵も夫人も何を考えているのしら」 「だからディオン様はあなたを追い出してから好き放題しているのね。きっとフェリベール公爵もミリアクト伯爵家が何も言わないならいいと放置してるのよ」 「そうかもしれないわね」 アレクシアとエルザがディオンのことを前もって教えてくれていたのでコレットは彼の裏の顔を知っていた。 コレットがディオンの本性を暴こうとしていたため、今まで自由に振る舞うことができずに、ずっといい婚約者を演じていたのだろう。 リリアーヌが婚約者になった途端、自由に振る舞い出したということは彼女には何もできないとわかっているからだ。 王都でたまたま会った際も、ディオンとリリアーヌは仲がよさそうには見えなかった。 言い争っている姿を見たからかもしれないが、ディオンがリリアーヌを守ろうと大切にしている様子はなかったし、リリアーヌはディオンの行動に苛立っているように思えた。 (やっぱり二人の関係はうまくいっていないのね……)
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