三章

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(出会った時はクールだったし、大人しかったから……まさかずっとこんなことを考えていたのかしら) けれど今はヴァンが与えてくれるものすべてが心地よく、彼に出会えてこうして共にいれることが心から幸せだと思う。 コレットは髪に触れている彼の手に重ねるように置いて目を閉じる。 「ヴァンに出会えて本当によかったわ」 こうしてヴァンと再会できたことをきっかけに、コレットの人生が百八十度変わっていた。 あそこで彼に出会わなければ、どうなっていたのかわからない。 しかしそれは自分の方だとヴァンは言った。 「それは僕も同じですよ。コレット」 「……ヴァン」 「僕もあの場でコレットに会わなければどうなっていたかわかりません。コレットは僕の希望だ。それは今も変わりません」 「わたくしも、ヴァンが大好きよ」 コレットはヴァンの紫色の瞳を見つめていた。 包み込むように添えられた大きな手のひらは温かくて安心する。 そのままヴァンの顔が近づいてきて唇が重なった。 柔らかい唇が離れていくのが名残り惜しいと感じる。 見つめ合う瞳には熱が帯びているような気がした。 「愛してる。今度こそ君を守るから……」 そんな言葉に気持ちを答えるようにコレットはもう一度、ヴァンに口付けた。
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