四章

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そもそもあの男は元から性格が悪かっただけでリリアーヌと婚約したからああなったわけではない。 元々、評判が悪いことも侍女から聞いてリリアーヌは初めて知った。 コレットがいなくなって自由にしているだけ。だからリリアーヌが悪いわけではない。 リリアーヌは悔しくて唇を噛む。 病をわずらっていた時よりも、今の方が悔しくて苦しくてたまらなかった。 それと同じようにコレットに対する怒りで頭がおかしくなりそうだ。 (わたしがこんな思いをするのも全部コレットお姉様のせいよっ!コレットお姉様が勝手なことをするから、こんなことになったの。ミリアクト伯爵邸にいれば……!) リリアーヌは部屋のテーブルを思いきり叩いて怒りを発散していた。 しかし生まれてから何もしていないリリアーヌの細腕はすぐに痛みに悲鳴をあげる。 真っ赤になった腕を擦って溢れ出しそうになる涙を拭った。 結局、ベッドの上で悔しさをぶつけることしかできない。 (わたしとコレットお姉様が違うのは当たり前じゃない!わたしが苦しんでいる間、ずっと楽しんでいたんだからっ) しかしリリアーヌの病はずっと前によくなっている。 それは自分が一番よくわかっていた。 すべては両親の気を引くための嘘で、そうすればリリアーヌが優先されることも知っていた。
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