四章

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病が治ってしまえば他の令嬢のように振る舞わなければならないことも本当は理解していたから逃げ続けていたのだ。 それが面倒だから何年も何年も誤魔化し続けたことが今になってリリアーヌに重くのしかかる。 (今まではすべて……すべてわたしの思い通りだったのに!どうしてこうなってしまうの!?コレットお姉様がわたしを支え続けてくれたらディオンもお父様もお母様もこうはならなかったのよっ!) コレットを連れ戻したくても、両親は絶対にノーと言うだろう。 己のプライドがあり誰も「自分たちが悪かったから戻ってきて」なんて絶対にコレットに頼むことはできはしない。 その前にもう生きてはいないだろう。 運良く生きながらえても娼婦か教会に身を寄せるかだ。 あまりにもリリアーヌが部屋から出てこないので、機嫌を窺うように母と父にお金を渡されて、好きなドレスを選んでくるように言われた。 建国記念パーティーでは両親がリリアーヌをサポートしてくれるそうだ。 ディオンも両親の前では以前のようにリリアーヌを置いていけないだろうと参加することになった。 それにドレスを自分で選ぶことも街に買い物に行くことも初めてだったので、リリアーヌはワクワクしていた。 両親はまだ完全にディオンの正体に気づいていない。 二人の前だけでは別人だからだ。
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