四章

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どうやらフェリベール公爵から遊ぶお金がもらえずに困っていたらしい。 反論するリリアーヌに「どうせパーティーでも逃げ帰るだけだろ?無駄だよ」と言ってくる。 適当に誤魔化せと言われても、こんな意地悪をされるのは初めててリリアーヌはどうすればいいかわからずに必死に抵抗していた。 そんな時、ディオンが足を止める。 向けられた視線の先には見覚えのある人物がいた。 リリアーヌは幻か何かだと思い、何度も瞬きを繰り返す。 (コレット、お姉様……!?嘘でしょう!?死んだんじゃないの?) コレットもリリアーヌに気づいたのか、目を見開いたまま足を止めているではないか。 先ほどまでの最悪な気分は一瞬で吹き飛んでしまう。 隣には明らかに金持ちそうな男がいる。それに後ろには従者が控えていた。 リリアーヌはコレットがどう生き延びたのかがわかってしまい唇を歪めた。 「野垂れ死んだかと思ってたけど、コレットお姉様は娼婦になったのねぇ!」 リリアーヌがそう言っても何も反論しようとしない。 ディオンも興味深そうにコレットを観察した後に鼻で笑う。 「娼婦になって上客を掴んだようだけど、所詮は娼婦……ふふっ、惨めよねぇ」 「……まさかこうなるとはな。落ちぶれたな、コレット」 もう〝コレットお姉様〟なんて呼ぶ必要はないだろう。
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