四章

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元伯爵令嬢だったコレットが男に媚びて体を売りながら生きる生活をしていると思うと、先ほどまでの嫌な気分がなくなり胸がスッとした。 しかしミリアクト伯爵家にいた時よりもずっとずっと美しいコレットの姿にリリアーヌは焦りを感じていた。 コレットが自分より輝いていることが許せない。 だからリリアーヌより下にいるように落としてやったのに……。 今までリリアーヌがコレットがいないことで与えらた屈辱や鬱憤を晴らすように文句を吐きかける。 しかし喉にある違和感と痛みで言葉が止まる。 刃物を突きつけられていると気づいたのはすぐのこと。 悲鳴をあげようとしても、声が出ないように力を込められてしまう。 リリアーヌは死の恐怖に震えることしかできなかった。 隣にいるディオンも同じような状況だったようだ。 しかしコレットの隣にいる男性が何かを言った瞬間、手が離れる。 それはリリアーヌの知らない言葉だった。 コレットも当然のようにその言葉を話して会話しているではないか。 しかしディオンはシェイメイ帝国の言葉なのかと問いかけるように呟いた。 (シェイメイ帝国……?何よそれ) 聞いたことのない国の名前に首を傾げる前に、首から血が出ていることに気づいて怒りが吹き上げるようにしてリリアーヌの感情を押し上げる。
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