四章

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(わたしがこんな目にあうのも全部ぜんぶコレットお姉様のせいよ……っ!) コレットの後ろ姿が涙で滲んでいく。 「わたしにっ、こんなことをして許されないんだから!」 リリアーヌが悔しくて泣いていると、どうやらディオンもコレットに興味を持ち、近づこうとするもののあっさりと追い払われてしまう。 先ほどリリアーヌとディオンに刃物を向けていた男女の従者二人が人集りを解散するように宥めていく。 そして地面に座り込むリリアーヌと尻もちをつくディオンの前でシェイメイ帝国の言葉で何かを話し始めた。 こちらを睨みつけたかと思えば指を差したり、馬鹿にしたように笑い肩をすくめる始末だ。 リリアーヌは怒りから震えていた。 手のひらを握り込んで二人に向かって叫ぶ。 「──ふざけんじゃないわよ!わたくしはミリアクト伯爵家の令嬢なんだからっ、こんなことしてただじゃおかないんだからね!」 「俺だってフェリベール公爵家の人間だ。こんなことされて黙っていられるかよ!お前たちを絶対に追い詰めてやるからなっ」 ディオンも怒りの感情をぶつけるように叫んでいる。 しかしここで家名を言ったことを後悔することも知らずに暴言を吐きかけていた。
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