四章

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目の前にいる侍女と従者は言葉が通じているのかいないのかこちらを見て馬鹿にするようにクスリと笑っているだけ。 煽るような行動にますます頭にきてしまう。 そのまま背を向けて何事もなかったかのように去っていく姿を見てワナワナと震えていた。 リリアーヌは怒りのままディオンを連れてすぐにミリアクト伯爵邸に帰る。 ディオンは馬車の中で不満そうにリリアーヌに金を返した。 ドレスを買わずに帰ってきたリリアーヌを見て両親は驚いていた。 しかしコレットの話を聞いて、信じられないと言った表情で唖然としている。 「コレットが娼婦に……?シェイメイ帝国の人間と共にいたというのは本当か?」 「そうよ!その従者にわたしは傷つけられたのっ」 リリアーヌはそう言って首の傷を見せる。 薄っすらと刃物でつけられた傷があった。 両親は驚いていたが、リリアーヌはコレットが信じられないくらいの金持ちと一緒にいたこと。 信じられないくらい美しくなり、高級なドレスを着ていたことを話す。 チラリと見えたが荷馬車にはリリアーヌですら着たことのない超高級なブティックの箱がたくさん積み上がっていた。 伯爵家では手が届かないものばかり。 そしてこちらが太刀打ちできないほどの護衛を連れていたことも気になっていた。
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