四章

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リリアーヌと母の言葉に父は「うむ」と返事を返して顎に触れた。 それから娼館を聞き、コレットが在籍していないかを調べると言った。 それよりもリリアーヌはコレットがディオンよりもずっとかっこよくて金持ちで優しそうな男に守られて幸せでいることの方が気に入らない。 (コレットお姉様は一人で平気だったじゃない……!それなのにあんな強くてかっこいい人に守られているなんてありえないわ) リリアーヌが悔しくて爪を噛んでいると、ディオンも珍しく苛立った様子で両親と話している。 余程、侍女と侍従と男性にぞんざいに扱われたことが気に入らないのだろう。 フェリベール公爵家にも協力を求めて知り合いに声をかけてみると言っていた。 そしてリリアーヌはディオンを見てあることを思いつく。 (またあの素敵な人を奪っちゃえばいいんじゃない?) 金を奪うしエスコートもしない。 リリアーヌを守ってくれないクソみたいな婚約者、ディオンはもういらない。 この男の本性は最悪なものだった。 しかしあの青年は違う。 コレットなんかを守るために体を張って怒っていた。 何よりもコレットを優先していたあの青年を自分のものにしたら、あの強い護衛だってリリアーヌを守るために動くだろう。 (そうなったら最高じゃない……!) リリアーヌの唇が大きく弧を描く。 それにディオンは彼らはシェイメイ帝国の人間だと言っていた。
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