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両親が真っ青な顔で部屋に飛び込んでくる。
その慌てっぷりにリリアーヌは呆然としていた。
「お父様、お母様、そんなに急いでどうしたの?」
「どうしたのではない、これを見ろっ……!我々はいい笑い者ではないか!お前は一体、何をしでかしたんだ。!リリアーヌッ」
父の手には先ほどディオンが持っていたのと同じ紙が握られている。
「わっ、わたしは何もしていないわ!」
「ミリアクト伯爵家の名前に泥を塗るのもいい加減にしてくれっ!」
「──キャアアアッ!」
父がリリアーヌの胸元を掴んで持ち上げる。
父の怒鳴り声が初めてリリアーヌに向けられる。
コレットにはよくこうして怒っていたが、リリアーヌに対しては初めてだった。
リリアーヌはあまりの恐怖に涙を流していたが、父の背後にいる母は何故かいつものようにリリアーヌを庇うことなく、こちらを睨みつけているだけ。
そしてパンッという音と共にビリビリとした痛みが走る。
頬を叩かれたのだと気づいたリリアーヌはその場で崩れ落ちた。
「な、なんでぇ……?」
「こんなことならコレットの方がまだマシだった!この役立たずめっ」
「こんなに役立たずだったなんて……本当に最悪だわ」
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