四章

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軽蔑するような視線を向けられたリリアーヌは一歩も動けないまま固まっていた。 それから両親の怒りの矛先はディオンへと向かう。 今すぐ婚約を破棄するようにフェリベール公爵家に掛け合うという父。 (さすがお父様!あんなことしたけど本当はわたしのことを愛しているのねっ、わたしを守ろうとしているのよ) ディオンは「この記事はすべてデタラメですよ!町に適当にばら撒かれているゴシップ記事を信じるのですか?」と引き攣った表情で言っている。 しかしそれが本当なのだとリリアーヌはわかっていた。 (だって……わたしのことも全部本当だものっ ) その数十分後、立派な髭を携えたフェリベール公爵がミリアクト伯爵邸に訪れた。 ディオンのことについて抗議する父にフェリベール公爵から鋭い視線を送られてリリアーヌは赤くなった頬を押さえながら肩が大きく跳ねさせた。 「ち、父上……っ!」 フェリベール公爵は「面汚しが」とディオンに吐き捨てるように言った。 ディオンは冷や汗をかいていて肩を丸めて小さくなっている。 (だっさ……やっぱりこんなやついらないわ!) 父も同じ気持ちだったようで、ディオンとの婚約を破棄するように言っているが、それを鼻で笑いながらフェリベール公爵は言った。
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