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「コレットは賢く評判のいい令嬢だったが、リリアーヌはまったくダメなようだな」
「……!」
「婚約破棄か……別にこちらは構わない。しかし今後、リリアーヌと結婚しようなどと思う令息はいないだろうな。これだけの失態を犯して婚約放棄すれば、コレットの件も相まってミリアクト伯爵家の評判も地に堕ちる」
「そ、そんなことはっ……!」
「ここに書いてあるのはリリアーヌのことだけか?随分と領民には不平不満が溜まっているようだが……まさかコレットにすべてを任せて遊び呆けていたとは」
「……っ!?」
「笑い者になるのはどちらだ?」
いつのまにか立場が逆転していた。
フェリベール公爵がそう言うと父は黙り込んでしまった。
リリアーヌは何が起きたかもわからずに首を傾げる。
重たい空気の中、フェリベール公爵はディオンを見据えた。
「ディオン、この件はお前がすべての責任を取れ。これ以上、フェリベール公爵家は関与しない」
「え…………?」
「ウィリアム殿下と仲がいいから泳がせていたが……もうお前に価値はない」
「ま、待って……待ってください、父上ッ!」
フェリベール公爵はそう言ってディオンを無視すると何事もないように去っていく。
ディオンの絶望する表情を見てもいい気味だとしか思わなかった。
それはリリアーヌがフェリベール公爵が何を言っているのか意味を理解できていないからだ。
ディオンはフェリベール公爵の護衛に引き摺られるように去っていく。
何もわかっていないリリアーヌは、ただディオンを惨めだと嘲笑っていたのだった。
(リリアーヌside end)
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