四章

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そしてヴァンと共に暮らすようになり、心が穏やかでいられる。 こんな風に幸せになれたのもすべてヴァンに救われたからだ。 コレットは感謝の気持ちで胸がいっぱいだった。 扉をノックする音と「僕だよ」という声が聞こえた。 コレットが返事をするとメイメイが扉を確認してからゆっくりと開く。 ヴァンがいつものシェイメイ帝国の民族衣装ではなく、コレットのドレスに合わせるようにジュストコールを着ている。 スラリと伸びた長い手足、髪は顔がよく見えるように前髪を上げていて、いつもとはイメージが違っていた。 上品な装いはエヴァリルート王国の貴族に見える。 (ヴァンはエヴァリルート王国の王族の血を引いている第一王子で、本来ならば国王になる予定だった。シルヴァン殿下と呼ばれていたかもしれないのね) シェイメイ帝国で〝シルヴァン〟という名前を捨てて〝ヴァン〟として生きている。 今日はどんな思いでパーティーに参加するのか考えるだけで胸が痛んだ。 ヴァンのブーツの音がこちらに近づいてくる。 ゴツゴツとした手のひらが頬に触れてコレットは顔を上げた。
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