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紫色の瞳がコレットを愛おしそうに見つめている。
「なんて美しいんでしょうか……素敵です。コレット」
「ありがとう、ございます」
「こうしてずっと眺めていたいですが、そろそろ行かないと遅れてしまいますね」
なんとなく照れくさくて、こちらまでつられて敬語になってしまう。
そのまま髪を撫でたヴァンはエスコートするために腕を曲げる。
コレットは手を伸ばしてヴァンの逞しい腕に添える。
準備をしてくれたメイメイにお礼を言ってからコレットは歩き出す。
彼女はぺこりと頭を下げた後に二人の後に続いた。
どうやら護衛としてこのままウロと共に同行することになっているそうだ。
いつもの侍女服ではなく、ヴァンが着ているシェイメイ帝国の伝統服よりもシンプルな黒い服に身を包んでいる。
その後ろにも五人ほど、口元を隠した体格のいい護衛が一緒にパーティーにくるそうだ。
コレットがヴァンと馬車に乗ると、馬に乗った護衛が前に二人、後ろに二人、あとは馬車に乗って待機している。
「随分と厳重なのね」
「一応、多めに用意したんです。処分する明確な理由は必要でしょう?」
「処分する理由……?」
「選択するかは彼次第だったんですけど、見事に引っかかってくれそうですよ。そんな愚かなことをしたら今度こそ終わりだというのに」
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