四章

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(ヴァンのためにわたくしにできることをしましょう) ヴァンは平然とコレットをエスコートしているが今からどんな気持ちでエヴァリルート国王と王妃の前に立つのか。 コレットはヴァンに守ってもらってばかりだ。 ヴァンのために何ができるだろうか。 (わたくしにヴァンを守れるような力があったらいいのに……) 何度そう思ったことだろう。 コレットは無意識にヴァンの腕をグッと力を込めて握っていた。 周囲の視線が集まる中、コレットとヴァンは前に前に進んでいく。 以前はディオンが隣にいたが、彼はコレットの味方ではない。 しかし今はいつもコレットを気遣ってくれるヴァンが味方でいてくれる。 後ろにはメイメイやウロもいる。 (もう一人じゃないわ) そう思うだけで心が強くなれたような気がした。 コレットは背筋を伸ばして堂々と前を向いて歩いていく。 今までミリアクト伯爵家で培ってきたことがここで役に立つことになるとは思いもしなかったが。 各国の要人たちがパーティー会場に集まっていた。 「まずはエヴァリルート国王と王妃に、お祝いの挨拶に行きましょうか」 「……ヴァン、大丈夫なの?」 コレットの言葉にヴァンはキョトンとした後にいつものように笑みを浮かべた。 「コレットが隣にいますから、僕は大丈夫ですよ」 「……無理しないでね?もし気分が悪くなったりしたらわたくしに言って」
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