四章

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「こんなこと許されないわ!今すぐにやめさせなさい!そうじゃないと……」 「…………」 ミリアクト伯爵夫人が金切り声でそう叫んでもメイメイとウロは一歩も引く様子はない。 ヴァンも何も言うことなく、ミリアクト伯爵たちの姿を見て成り行きを見守っているようだ。 コレットもヴァンと同じように声を発することなく、横目で伯爵たちを見るだけにとどめた。 周囲の目も気にすることなく暴言を吐きかける伯爵たちに成長はまったく見えない。 リリアーヌもドレスが引きちぎれそうなほどに裾を握っている。 (この人たちにはわたくしを見下すことしか頭にないのかしら.……) コレットはミリアクト伯爵たちが可哀想に見えて仕方ない。 コレットが何故ここにいることよりも、コレットに対する悪口や暴言を吐いて従わせることに必死になっている。 こちらが一言も話しておらず、一方通行の暴言で会話も成立していない。 もう十分だと言いたげにヴァンがコレットを庇うように前に出た。 「先ほどから騒がしいですが……僕の妻に何か用があるのでしょうか?」 「なっ……!?妻、だと!?」 「えぇ、彼女は僕の妻です。あなたたちと何かの関係が?」 「一体、どういうことなの!?」 コレットはヴァンの言葉を受けてミリアクト伯爵たちに軽く会釈をする。 ヴァンも知らないフリをして伯爵たちを煽っているのだろうか。
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