四章

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そんなミリアクト伯爵たちを見てクスクスと馬鹿にするように嘲笑う声が聞こえて、ミリアクト伯爵と夫人は顔を真っ赤にしている。 リリアーヌは爪を噛んで、またドレスへの不満を漏らしている。 ディオンは外を見ながら「どうする?どうすればいい」と何かを呟いていて蚊帳の外だ。 他人のふりをしているコレットのことが気に入らないのか、怒りを露わにしたミリアクト伯爵が口を開く。 「コイツとの関係は……っ、関係は」 ミリアクト伯爵は口篭ってしまう。 自分からコレットのことを家族だったと言うのは嫌なのだろう。 シンと静まり返る会場ですっかり口をつぐんでしまった伯爵たちとは違い、リリアーヌはなんとかコレットを攻撃しようと言葉を絞り出している。 この会場で傷つけられることはないと思っているのか、ナイフを気にすることなくコレットを指差しつつも無理矢理口角を上げたリリアーヌは叫ぶ。 「娼婦の分際でまた新しい男を捕まえたの!?あなたにこんな才能があったなんて驚きだわ……!」 「……」 リリアーヌは隣にいるのが、王都で会ったヴァンだと気づいていないようだ。 今ヴァンはエヴァリルート王国の言葉で話し、貴族の格好をしているが、髪色や瞳の色、アクセサリーなどで同じ人物だとわかるだろうに。
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