四章

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(なんて愚かなの……) それに相手の立場を確認しもしないどころか自己紹介もせずに妻を罵るなど自殺行為だろう。 リリアーヌと同じでミリアクト伯爵たちも怒りでマナーを忘れてしまったのだろうか。 ミリアクト伯爵や夫人もリリアーヌの言葉にハッとするようにニヤリと唇を歪めた。 「王都をいる時はシェイメイ帝国の男と歩いていたそうじゃないか!」 「代わる代わる男を連れ歩くなんて、なんてはしたないのかしら!」 リリアーヌはヴァンに告げ口をしているつもりなのか、コレットが不貞行為をしていると繰り返す。 しかしヴァンはニコリと上部だけの笑みを浮かべただけで何も言葉を返すことはない。 ヴァンの笑みを見てリリアーヌとミリアクト伯爵夫人の頬がほんのりと色づいた。 リリアーヌの口から王都でシェイメイ帝国の人といたことは伝わっているようだ。 メイメイとウロも今日は黒い布で顔を隠しており、目元しか見えていない。 ナイフを向けられているのが同一人物だとは気づかないのだろう。 ヴァンとメイメイとウロの顔を知っているのはリリアーヌとディオンだけ。 リリアーヌとディオンが気づかなければ、伯爵たちは気づくはずもない。
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