四章

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「まぁ……なんてはしたないの!」 「ミリアクト伯爵家から出て行ってもらってよかったわ!こんな穢らわしいやつにうちは継がせられないものっ」 社交界に流れている噂を払拭しようと必死なのだろうが、今度はコレットだって黙ってはいられない。 周囲にも元ミリアクト伯爵家の令嬢、コレットだというこということがわかったのだろう。 ザワザワと騒ぎ出す周囲の貴族たち。 しかしヴァンの正体がわからずに黙って様子を窺っている。 コレットは三人を睨みつけた。 「わたくしはミリアクト伯爵家から自分から出ていきました。その選択をして心からよかったと思っています」 コレットの言葉に空気が張り詰めたのがわかった。 「それにわたくしは娼婦ではありません。愛する旦那様の前で言い掛かりをつけるのはやめてください」 コレットは娼婦ではないとはっきりと告げたのだが、ヴァンはコレットの言葉に目を輝かしながらこちらを見ている。 「コレット……今、なんと言ったのですか!?」 「……え?」 「今、僕のことを〝愛する旦那様〟って言いましたよね!?」 「え、えぇ……そうだけど」 食い気味に問いかけるヴァンにコレットは困惑しながらも頷いた。
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