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リリアーヌの目の下の隈は深く明らかに苛立った表情を見てわかることは、コレットがいなくなってから甘やかされることはなく辛い日々を送っているということ。
両親もリリアーヌの本当の姿と現実を知ったのだ。
リリアーヌが着ているシンプルなドレスにもそれが顕著に現れているような気がした。
ミリアクト伯爵夫人に「離せっ、離してよ!」と言って手を振り払おうともがくリリアーヌは血走った目でこちらを睨みつけるが、ヴァンと目があったことでいつもの表情に戻る。
ヴァンがニッコリと笑ったことで何を勘違いしたのか、リリアーヌは上目遣いと可愛らしい表情でアピールしている。
リリアーヌはまたディオンの時のようにコレットからヴァンを奪うつもりなのだろうか。
(またリリアーヌに奪われてしまうの?……ううん、ありえないわ)
しかしコレットは焦ることなく冷静だった。
ヴァンに限ってリリアーヌを選ぶなんて絶対にありえないと、もうわかっているからだ。
背筋が凍るような冷笑を見て勘違いできるリリアーヌは幸せだ。
それからリリアーヌはヴァンに自分の元に来るようにと提案している。
コレットと結婚していると言っているにもかかわらず、自分の方が魅力があるとアピールしているリリアーヌにコレットはため息を吐いた。
(……何も変わってないのね)
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