四章

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ミリアクト伯爵は瞳を右往左往させて言い訳を模索している。 そんな中、いち早く動いたフェリベール公爵がミリアクト伯爵の前に立つ。 「ミリアクト伯爵、残念だよ」 「フェリベール公爵……!?」 「この婚約はなかったことにさせてもらう。書類は追って送る」 フェリベール公爵はヴァンとコレットに向けて丁寧に頭を下げて「この度は申し訳ございません」と言った。 自己紹介をした後に改めて謝罪と国王に話を通しておくと、ヴァンが口を挟む間もなく喋ってから何事もなかったようにディオンを連れて去ろうとした時だった。 「フェリベール公爵、あなたに聞いて欲しいことがあるんですよ」 「…………。なんでしょうか」 「今日ここに来る前に我々は野盗に襲われたんですよ」 「野盗、ですか。確かに我が国で起こったことならば謝罪をしなければなりませんね」 「野盗は全員捕らえました。少々手荒な方法を使わせていただき、雇い主を吐かせましたところ、全員が同じ名前を口にしました…………誰だと思いますか?」 「──ヒィッ!?」 「ま、まさか……!」 フェリベール公爵の視線はディオンへと向かう。 そしてディオンもわかりやすいほどに肩を跳ねさせた。
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