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「違うっ!違うんだっ!ちょっと痛い目をみせてやれば、それで……それでよかったのにッ!」
「刃物を持っていましたから、そんな言い訳は通じませんよ。彼らは間違いなく我々を殺すつもりでした」
「ちがっ、なんでだよ!?アイツらが勝手に……っ!」
「ああ、自分が野盗を用意したのだとこの場で認めましたねぇ」
「……!」
ディオンの顔は一気に青ざめていく。
「元婚約者である我が妻に想いが残っていたのかは知りませんが、私情で消そうとするなど悪ふざけが過ぎませんか?これは国際問題になりかねません」
「ちょっと待ってくれよ!そんな……っ、俺は何もしていないんだ、何も悪くないっ!」
「王都の人通りの多い場所で妻を娼婦扱いしたことも忘れたとは言わせませんよ」
「だって……それはっ……リリアーヌがそうだって言ったから仕方ないじゃないか!」
「本当はあの場で死ぬはずだった……前回はコレットの優しさに生かされたのに残念ですよ」
「……ひっ、ぐ」
座り込んで泣き出してしまったディオンは以前の面影はない。
フェリベール公爵は己の身なりを整えるとヴァンに深々と頭を下げて謝罪している。
これはフェリベール公爵家の問題だけではないことは明白だった。
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