四章

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以前は結果的にリリアーヌとディオンを助けるような形になってしまったコレットだったが、今回はミリアクト伯爵や夫人、リリアーヌに縋るような視線を送られても何も言わずに黙っていた。 あれだけコレットを罵っておいて、自分たちが窮地に陥った時は助けてもらえるなんて思っているのが驚きだった。 コレットはヴァンと結婚してシェイメイ帝国の人間だ。 元家族だろうが元婚約者だろうが繋がりはまったくない。 自分の家族がヴァンだけだと思うと心がスッとするような気がした。 ずっと縛られ続けていた家族との縁も切れたことも何も後悔がない。 「──なんの騒ぎだっ!」 会場に重たい声が響いた。人集りの中、道が開けていく。 そこから歩いてきたのは国王と王妃、そして王太子のウィリアムだった。 ウィリアムは友人であるディオンが絶望している様子を見て驚愕している。 しかしディオンは頭を抱えて「俺は悪くない」と呟くように言っているだけで、ウィリアムたちに気づいてはいないようだ。 王妃は青筋を浮かべて怒りを露わにして顔を歪めている。 パーティーが中断されたことがかなり不服なようで苛立ちを露わにしている。 ついにエヴァリルート国王と王妃の前に立ったヴァンはニタリと唇を歪めた。 ブワリと鳥肌が立つような恐怖と威圧感にコレットは目を見開く。
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