四章

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そしてリリアーヌに向けていた剣を下ろして、国王たちに向けようとするヴァンの手首を掴む。 小さく肩を揺らしたヴァンの視線はゆっくりとコレットへ。 「……コ、レット?」 「ヴァン、わたくしがそばにいるわ」 紫色の瞳は左右に揺れ動いていた。 ヴァンの手のひらからはゆっくりと力が抜けていく。 「そう、ですね。僕にはコレットがいる。大切な人を今度こそ守るんだ」 自分に言い聞かせるように言ったヴァンの言葉にコレットは大きく頷いた。 誰も国王の問いに答えない中、ヴァンは丁寧にお辞儀をする。 いつの間にかヴァンの表情もいつも通りに戻っていた。 「シェイメイ帝国から参りました。ヴァンと申します」 「…………ッ!?」 「あなたが騒ぎの中心なの!?我が国の貴族と揉めてパーティーを中断させるなんてどういうつもり?説明してちょうだい」 エヴァリルート国王は意外なことに〝ヴァン〟が成長した〝シルヴァン〟だと気づいたようだ。 瞳は大きく揺れ動いて明らかに動揺しているのがわかる。 しかし王妃はヴァンに気づくことなく、騒ぎの中心がヴァンと決めつけて苛立ちをぶつけているではないか。 会場に響き渡る金切り声にエヴァリルート国王がやめろと言いたげに手を上げて制すがお構いなしだ。
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