四章

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「この件はシェイメイ皇帝陛下に抗議させていただきますからっ!」 王妃の金切り声にも怯むことなくヴァンは笑顔を浮かべた。 「えぇ、構いませんよ。皇帝陛下もエヴァリルート王国を手に入れるいい口実になるとお喜びになるでしょう」 ヴァンの言葉は衝撃的なものだった。 その意味を今までのやりとりを見ていた周囲の貴族たちは理解しているが、また違う意味で解釈しているエヴァリルート国王は首を小さく横に振る。 「どういう、ことだ……いや、どうして」 尻すぼみになっていくエヴァリルート国王の声にヴァンはにっこりと笑みを浮かべながら答えた。  「あの時に処分できたと思いましたか?残念ながら僕は死んでいませんよ」 「……なっ!?」 「母を見殺しにし、何の罪もない侍女を殺して僕を処分しようとしたこと……忘れたとはいわせませんから」 「そ、れは……」 「それに加えて僕の妻、コレットをミリアクト伯爵家に侮辱され、ディオン・フェリベールに命まで狙われたのです。この責任はどう取っていただきましょうか」 国王の視線はミリアクト伯爵家へ流れていく。 ミリアクト伯爵は涙を流しながら必死に言い訳をしようとしているが、焦りからかうまく言葉が出てこないようだ。 フェリベール公爵は唇を噛んで黙ったままだ。
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