一章

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「おはよう、コレット」 「……ッ!?」 知らない青年に名前を呼ばれて、コレットは体を跳ねさせた。 (だ、誰なの……!?) コレットは反射的に手を伸ばそうとして、手や足が動かせないことに気づく。 どうやら全身をシーツに包まれて青年に抱きしめられているようだ。 身の危険を感じて、なんとか出ようと暴れていると青年はコレットの行動に気がついたのかベッドに座らせてから、ゆっくりとシーツを取り去る。 コレットが家を出る時に着ていた服ではなく、真新しい服に着替えていることに驚きを隠せなかった。 この青年がコレットの服を着替えさせてくれたのだろうか。 シルクのように肌触りがよく、高そうな服を見て呆然としていた。 豪華絢爛な部屋の中にはコレットと青年以外、誰もいない。 エヴァリルート王国では見慣れない異国の服。 長い髪を一つに結えており、耳にはスティック状の細い金属が揺れている。 (も、もしかして娼館に売られた?それとも人攫いに……?) 急に恐怖を感じてコレットは自らの体を抱きしめるようにして震えていた。 すると青年はシーツを再びコレットの肩に掛けてからベッドから降りた。 コレットの前で視線を合わせるように膝をついて心配そうに眉を顰めている。
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