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青年は何も答えなかった。
もしかして怒らせてしまったのかもしれないと思ったが、青年は笑みを浮かべたままだ。
「今は何も考えずにゆっくりと休んでください」
「……え?」
「こんなに痩せてしまって……暫く休息が必要でしょうから」
「で、ですが……!」
青年は立ち上がると、コレットに優しい笑顔を向けて去っていく。
パタリと扉が閉まると、青年と入れ替わるように眼帯をつけて髪を上で二つに丸くまとめた少女が中に入ってくる。
服装からして侍女なのだろうか。
先ほどの優しそうな青年とは真逆で表情は固まっているようにまったく動かない。
形のいい唇が開き、綺麗に腰を折る少女に釘付けになっていた。
「コレット様、本日よりコレット様をお世話させていただきます。メイメイです。よろしくお願いいたします」
「メイメイ……?もしかしてシェイメイ帝国の方でしょうか」
「そうでございます」
エヴァリルート王国の何倍もある土地を有するシェイメイ帝国は独自の文化を持っており武力も高く圧倒的な力で様々な部族を支配している。
皇帝には何人もの妃嬪がおり、エヴァリルート王国にも二十年以上前に八番目の皇女が側妃として嫁いできたそうだ。
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