一章

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理由はエヴァリルート国王と王妃との間に何年も子供ができずに、周囲の意見を受けて迎え入れたらしい。 男児を産んだが、その二年後に奇跡的に王妃が男児を授かったのだ。 数年後に側妃は病に冒されて亡くなってしまったことから悪い噂が多い。 本来ならば第一王子になるはずだった男児は表に出ずに見かけないことから、母親と共に死んでしまったのではないかと言われている。 王妃の圧力から深く言及されることはなく、その辺りはあやふやになっていて詳しくは明かされていない。 気性の荒い今の正妃に目をつけられたくはないため、わざわざこの件を掘り出す者もおらず闇に葬られてしまったようだ。 エヴァリルート王国には王妃が産んだ王子が一人だけ。 王太子のウィリアム・ル・エヴァリルートはあまりいい噂は聞かない。 それにディオンと仲がよく、一緒に出席したパーティーで親しげに話す様子をコレットは何度も見ていた。 コレットやディオンと同い年だがウィリアムは念願の王子だからか正妃は彼を好き放題に甘やかしている。 そのことで国の未来を憂う者も多いが、エヴァリルート国王もそこまで介入していないようだ。
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