二章

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そう言いながら咳き込むとその日から、両親はコレットに冷たくなった。 リリアーヌはいつの間にか両親を独占していた。 罪悪感からなのか、リリアーヌが可哀想だからか、リリアーヌの願いはすべて叶ってしまう。 「困ったことはなんでも言いなさい」 「リリアーヌ、わたくしたちがそばにいるからね」 そんな時、リリアーヌを羨ましそうに見ているコレットに気がついた。 (あれ……?これって) 三人を観察していたリリアーヌは、両親の視線がこちらに向くほどにコレットの表情は暗くなり悲しみが滲む。 (コレットお姉様は、わたしが羨ましいんだわ!) そう思った瞬間、ゾワリと鳥肌がたった。 リリアーヌはコレットに勝ったことが嬉しかったのだ。 無意識に唇が弧を描く。 なんでも持っているコレットよりも上回るものをリリアーヌが持っている。 コレットよりも美しい容姿も、病弱な体も、すべてリリアーヌの武器になると気づいた。 (これは仕方ないのよ。だってコレットお姉様はなんだって持っているじゃない。だから苦しんでいいの……!) リリアーヌはコレットを苦しめることに幸せを感じるようになった。 なんでも持っているコレットから自由を奪い取り、なんでもできるコレットから楽しみを奪い取り、苦しめることでしか得られない快感がある。
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