二章

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(自分だけ自由になろうとするなんてダメよ、コレットお姉様はずっとわたしのそばで苦しんでくれなくちゃ!) そしてコレットはその令息を諦めるように伯爵邸から出るのを暫く禁じられたらしい。 リリアーヌはいい気味だと心の中で嘲笑った。 (コレットお姉様もわたしと同じ……ここにいればいいの) 令嬢として何もできなくても、両親はリリアーヌを愛してくれているし守ってくれる。 苦しむのはコレットの役目、愛されて幸せになるのはリリアーヌとそう決まっているのだ。 惨めなコレットがいないとリリアーヌの気持ちは晴れない。 リリアーヌと同じように、ドレスを着てお茶会を楽しむことも、パーティーに行って友人と話すことも許したくない。 コレットを毎日、呼びたてて今が幸せじゃないかを確認していた。 少しでもコレットにいいことがあれば両親に告げ口して、侍女に嫌がらせをさせた。 一人孤立するコレットを見ているとリリアーヌの心はスッと軽くなる。 そんな中、リリアーヌが十六歳の時にコレットの婚約者が決まってしまう。 それが由緒正しいフェリベール公爵家の三男、ディオンだった。 ライトブラウンの髪とディープブルーの瞳。 端正な顔立ちは惚れ惚れしてしまう。
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