二章

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まるで絵本で見ていた王子様のようなディオン。 そんなディオンの婚約者になれて、ミリアクト伯爵家を継ぐコレットがリリアーヌは羨ましくて仕方なかった。 優しい笑顔を浮かべてコレットと歩くディオンを見て、リリアーヌは歯を食いじばる。 しかし今回は両親に「羨ましい」と言っても解決することはなかった。 「リリアーヌを守っていくためなんだ!」 「リリアーヌは体が弱いから伯爵家を継いだり、子供を産んだりはできないでしょう?だからこれでいいのよ」 リリアーヌは納得できなかった。 体が弱く心配だという両親の言うことが、今度は弊害となってしまう。 リリアーヌの体調はよくなっていたことにしていく。 怪しまれないようにゆっくりと。 だけどこのベッドの上が心地よい。 それにミリアクト伯爵家はすべてリリアーヌのものでなければ気が済まなかった。 そんな時、リリアーヌはあることを思いつく。 それは再びコレットを地獄に落として苦しませ続ける方法だった。 (そうだわ……!わたしがミリアクト伯爵家を継げばいいのよ。こんな簡単なことにどうして今まで気づかなかったのかしら) リリアーヌは病が少しずつ治ってきたと言って社交の場に出ようと思った。 自分の方がコレットよりも伯爵家を継ぐに相応しいと見せつけたかったからだ。 ドレスもアクセサリーも、リリアーヌが頼めば最高級なものを用意してくれる。 コレットは地味でいつも同じものばかりなのに。
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