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コレットは地味な使い古しのドレスでリリアーヌは新品で流行りのドレス。
愛されているのはどちらか、一目見ただけで明白だろう。
リリアーヌは完全に浮かれたていた。
そしてリリアーヌは知らなすぎたのだ。社交界がどんな場所かを……
リリアーヌは自らをアピールするように声を掛けて回る。
社交界でのマナーはずっと前に習ったような気もするが、もう忘れてしまった。
(もしかしたらこの国の王子様だって、わたしを見たら夢中になるかもしれないわ!)
令嬢たちはリリアーヌを見て、コソコソと何かを呟いている。
それを見て嫉妬の視線だと思い、ますます気分がよくなった。
だからコレットから奪ったエスコート役のディオンがいなくなったことにも気がつくことなく、リリアーヌは煌びやかな会場にうっとりしていた。
今まで仮病を使っていたことを後悔するくらいに。
(こんなに素敵な気分になれる場所があるなら、もっと早く来るべきだったわ……!)
リリアーヌは天にも昇る気持ちだった。体は羽の様に軽い。
部屋の中では得られないキラキラとした美しい世界だ。
「ごきげんよう。あなたはだぁれ?」
「わたしはリリアーヌ・ミリアクトですわ!今日が初めてのパーティーなのっ」
しかしそんな素晴らしい時間はコレットによって遮られてしまう。
コレットはリリアーヌの前に出ると、注目を奪うように頭を下げて何かを必死に話していた。
舞台で気持ちよく演じているのに引き摺り下ろされたような、そんな不満に怒りが込み上げてくる。
リリアーヌが文句を言う前に怒鳴り声が耳に届く。
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