二章

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二人きりになってしまい戸惑っていると青年がワゴンをこちらに運び、後ろ手で扉を閉めた。 青年はベッドの近くに置いてある椅子に座り、サイドテーブルにトレイに置くと皿を片手に持ち、反対の手にスプーンを持つ。 コレットは何をしているのか疑問に思いながら青年の行動を見ていた。 青年は慣れた様子で皿を掻き回すと、スプーンに掬ったリゾットに息を吹きかきて冷ました後にコレットの口元へと運んだ。 「はい、どうぞ」 「……!?」 「口を開けてください。早くしないと溢れてしまいますよ?」 その言葉に戸惑いつつも唇を開くと、スプーンと液体が流れ込んでくる。 「熱くないですか?」 青年の言葉に返事をするようにコレットは頷くと「よかったです」と笑みを浮かべた。 (……美しい人) ホワイトアッシュの珍しい色の髪は以前のコレットと同じくらいの長さで一つに結えている。 それでも女性に見えないのは体格がしっかりとしているからだろう。 前髪の隙間から見える宝石のような瞳。 スッと通った鼻筋と形のいい唇が綺麗に弧を描いている。 「コレットにそんな風に見つめられると照れてしまいそうですね」 「……ッ!?」 「それとも食事の催促でしょうか?」
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