二章

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コレットよりも小さくて細かった体は、一回りも二回りも大きくて体格はがっしりとしているし声も低い。 一番の違いはこんな風に優しい笑顔を見せたことがないところだろうか。 無口だったし、こんなに紳士的ではなかった。 コレットは青年の頬を指でそっと撫でながら確認するように問いかけた。 「ヴァンは……こんな風にたくさん笑ったりしなかったわ」 「えぇ、そうですね」 「それに髪もボサボサだったし、体はわたくしよりもずっと小さくて心配になるほどだったのよ?」 「はい」 「……っ!」 そこからコレットは言葉を紡ごうとして詰まってしまう。 目元が熱くなり、涙が出ないようにぐっと唇を噛んで耐えていた。 (どうして……否定してくれないの?) ヴァンはコレットの前から消えて、二度と会うことはなかった。 それなのにコレットが伯爵邸を出たこのタイミングでまた現れるなんて都合のいいことあるわけない。 そう思っているのに、目の前にいる青年がヴァンだと思うと嬉しくて仕方がないのだ。 記憶の幼い彼とはかけ離れた姿だが、彼の優しくコレットを見る瞳は今も昔も変わらない。 「どう、して……?」 「コレットに指輪をもらったあの日の夜……僕はある理由から国を出なければならなかった」
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