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──青年がヴァンだと知った日から一週間が経とうとしていた。
メイメイは今日もコレットの身の回りの世話をすべてしてくれた。
一日、三食とも食べきれないほどの美味しい食事が出てくる。
コレットにとっては普通の量でもヴァンやメイメイからすれば子供が食べるより少ないと言われて、少しずつではあるもののいつもより食べる量を増やして二人を心配させないように努力していた。
コレットは今までにない穏やかな時間を過ごしていた。
ヴァンは一日のうちに数時間、コレットのそばにいてくれる。
誰の視線を気にすることなく景色を見たり、一緒に紅茶を飲んでヴァンと共にお菓子を食べたりしながら話をする。
あれ以来、ヴァンはコレットに何を聞くこともなかった。
そしてコレットもヴァンに何も聞かずにいる。
ただ隣に座り、本を読んだり、何が好きかを話したりと、互いのことを話していた。
以前と同じように……。
それだけで涙が出そうなくらいに幸せだった。
ヴァンの元で暮らし始めて二週間ほどになると、食欲も出てきてヴァンと食事をする回数も増えてくる。
今は夕食は必ず彼ととっていた。
珍しい料理の数々はエヴィリルート王国では見ないものだったが、どれもとても美味しくて頬が蕩けてしまいそうだ。
しかしヴァンはコレットが少食なことが気に入らないと、テーブルいっぱいに料理を出して、どれが口に合うかを聞いてくる。
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