二章

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両親はリリアーヌを虐げたなどと言ってコレットを除籍するはずだ。 またパーティーで粗相をしたリリアーヌの噂を掻き消すために、コレットの名前を使うのかもしれない。 (もう、わたくしにはどうでもいいことだけれど……) そう思うと今まで両親に褒められたいからと積み重ねてきた努力はなんだったのだろうと問いかけたくなる。 リリアーヌはディオンの婚約者になり、ミリアクト伯爵家を継ぐ。 両親も最初からそうすればよかったのだ。 リリアーヌをずっとそばに置くという両親の願いも叶う。 (わたくしがミリアクト伯爵を継ぐのだってリリアーヌのためだったなんて、今考えても笑っちゃうわ) こうして離れてみると、あの家が異常なのだと改めて気がつくことができる。 ディオンがリリアーヌの手に負える相手でないことは確かだ。 それに気づいた時にあの人たちはどうするのか。 コレットはヴァンから時間をもらい、ゆっくりとしながらこれからのことを考えていた。 そしてある一つの答えに辿り着く。 (ヴァンの元で働きたい。雇ってもらえたらヴァンのずっとそばにいられるのかしら……頼んでみましょう)
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