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コレットの言葉の途中でガチャンと食器が擦れる音がした。
珍しくメイメイが音を立てたことに驚いていたが、メイメイの方が目を見開いてびっくりしているように見える。
「今……なんとおっしゃいましたか?」
「わたくしもこうしてお世話になってばかりはいられないでしょう?ヴァンにも申し訳ないし、行くあてもないからここで雇ってもらえると嬉しいのだけど」
「…………」
「もしかして図々しかったかしら」
メイメイの反応を見て、コレットは厚かましい奴だと思われたに違いないと反省していた時だった。
メイメイは真剣な顔でコレットに問いかける。
「何故、そのような思考になるのでしょうか」
「あのね……まだヴァンには言っていないけれど、わたくしはもう貴族の令嬢ではないのよ。だからこんな風に手厚く世話をしてもらってもヴァンには何も返せない。だけどこのままではいけないと思うの」
「…………」
「ここで働かせてもらったら嬉しいけれど、やっぱり図々しいわよね。シェイメイ帝国の言葉も少ししか話せないし役に立たないわね」
メイメイは珍しく瞳を右往左往した後に眉を顰めた。
いつも無表情のメイメイがこんなにも感情を露わにしている。
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