二章

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ヴァンはコレットの言葉を遮るように言った。 そして紅茶のカップを手に取り、サイドテーブルに置いたヴァンはコレットの両手を掴みながら握ると、眉を顰めて悲しそうな表情を浮かべている。 (ヴァンはわたくしがまだ伯爵令嬢だと思っているのよね……だから止めるんだわ) メイメイには伝えたが、コレットは今までのことをヴァンに話していないことを不誠実だと感じていた。 何も言わずに甘えてばかりはいられない。 だから今こそ本当のことを話さなければと口を開く。 「わたくし、ヴァンに話さなければいけないことがあるの」 「……っ!」 そう言った瞬間、コレットの手を握っていたヴァンの体が強張ったのがわかった。 コレットは顔を伏せて唇を噛む。 (怒るのも当然よね……こんな風に何も知らせないまま居座っているなんて) もっと早くヴァンに真実を伝えればよかったと、コレットは後悔していた。 (ヴァンに軽蔑されるのかしら。それだけは嫌だわ) そう思いながらもコレットは震える唇を開く。
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