二章

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「わたくし、もう貴族の令嬢では「出て行くなんて絶対に言わないでくださいっ!」 「……!?」 コレットが言葉を言いきる前にヴァンが叫ぶように言った。 「コレットが出て行くというのなら……この屋敷に閉じ込めますから」 「閉じ、込める?」 ヴァンの言葉の意味がわからずにコレットは次の言葉が出てこずに口篭る。 (今、ヴァンがわたくしを閉じ込めると言ったの?) しかしヴァンはコレットを鋭く睨みつけるようにして手を掴んでいる。 「あの……ヴァン、わたくしは」 「コレット、ここにいてください」 ヴァンはコレットの腕を引くと、まるで逃さないとでもいうように反対側の手で腰に手を回す。 至近距離にあるヴァンの美しい顔にコレットは戸惑っていた。 コレットはヴァンの行動に戸惑いつつも、メイメイに助けを求めるように視線を送る。 メイメイはコレットを助けるためか、ヴァンに耳打ちするものの首を横に振り拒否していた。 「ヴァン様、コレット様が困惑しております」 「僕は譲るつもりはない」 ヴァンはコレットが『出て行かない』と言うまでは動く気はないのだろう。 ヴァンの真剣な表情とは裏腹に、コレットの頬が赤くなっていく。 (今すぐ誤解を解かないと……!)
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