二章

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コレットはヴァンの胸を押して抵抗しながら叫んでいた。 「ヴァン、わたくしの話を聞いて……!」 「出て行くなんて言わないでください」   「わかったわ、出て行かない!出て行かないから話を聞いて欲しいの!」 コレットがそう言うとやっとヴァンの手から力が抜ける。 (……閉じ込めるって何かの冗談よね?) ドキドキする心臓を押さえつつも、離れたヴァンを見てホッとしていた。 「よかった……」 コレットが戸惑っていたが、いつもの表情に戻ったヴァンも安心からか息を吐き出しながらそう言った。 「コレットはずっとここにいていいんですよ?」 その言葉にコレットは胸元にあった手のひらをギュッと握った。 「でもわたくしはヴァンにこんな風によくしてもらっているのに何も返せないわ」 「返す必要はありません。むしろ僕がコレットに恩を返したいんです」 「恩……?もしあったとしても、もう十分よ。それにこのままだとわたくしの気が済まないの」 コレットがそう言うとヴァンは悲しげに眉を顰めた。 ヴァンの表情にコレットの胸が痛む。 でもこのままではいけないと強く思うのだ。 「わたくしもヴァンの役に立ちたいわ!」 「……コレット」 「それに今まで言えなかったんだけど、わたくしはもう貴族の令嬢ではないの。だからヴァンには……」
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