二章

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「コレットが伯爵令嬢ではないことは、もう知っていますよ」 「……っ!?」 コレットは驚き目を見開いた。 しかしメイメイに聞いたのかと思い、納得していた時だった。 「ウロたちに調べさせていました。アイツらがコレットに何かしたのは何となく想像できたのですが、真実を知っておきたくて……そうじゃないと徹底的に潰せませんから」 「え……?」 「コレットにまた悲しい思いをさせたくなかったので黙っていました。不快な思いをしたら申し訳ありません」 コレットはヴァンの言っていることが理解できなかった。 詳しく問いかけようとしてうまく言葉が出てこなくて口篭る。 まずコレットが貴族の令嬢ではないことを知りながら、こんな風に扱っていたことに信じられなかった。 (わたくしがもうミリアクト伯爵家にいないのにヴァンはどうして優しく接してくれるの?) 子供の頃、パーティーで話していただけのヴァンがコレットにここまでする理由は見つからない。  それにコレットに今まで何があったか知っているような口振りに戸惑いを隠せなかった。 (わたくしのことを調べたって言っていたけど、ヴァンは何者なの……?) 聞きたいことが色々とありすぎてコレットが困惑していると、ヴァンも「勝手に調べたこと、怒っていますか?」と申し訳なさそうにしている。 「いいえ、怒っていないわ」 しかしコレットは調べてくれてよかったとすら思っていた。 得体の知れない女が転がり込んでくればヴァンに仕えている人たちも不安に思うだろう。
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