一章

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一章

今日、コレットは病弱だと嘘をつき続けている妹に何もかもを奪われた。 「ずっと病気で何もできなかったわたしに、婚約者をちょうだい?これくらいいいでしょう?」 これくらいいいでしょう? その言葉はコレットの心を大きく抉った。 「……リリアーヌ、本気で言ってるの?」 「えぇ、だって仕方ないじゃない。コレットお姉様が悪いのよ?」 「すまないな、コレット。俺はリリアーヌと結婚する」 「……ッ!」 「病がよくなったリリアーヌに嫉妬して、陰で虐げていたなんて。許されることではないだろう?」 妹、リリアーヌの桃色の唇が綺麗に弧を描いている。 リリアーヌとコレットは一歳差の姉妹だ。 プラチナブロンドの髪が嫌味なほどにサラリと揺れた。 婚約者のディオンは、いつもの胡散臭い笑顔が嘘のように眉を吊り上げてコレットを睨みつけている。 「ミリアクト伯爵にはもう話はしてある。すぐに手続きをしてくれるそうだ。お前には失望したよ、コレット」 「ディオン様……コレットお姉様を責めないでくださいませ。きっと何か理由があってこんなことをしたと思うの。それにわたしはコレットお姉様がダメな人でも、ずっと一緒にいてあげたいと思っているのよ?」 「……!」 「これからもここにいて、わたしたちを支えていいから。ね?」
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