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贈り物
次の日扉をカリカリ引っ掻く音で目が覚めた。また山太郎がやって来たのかと玄関を出てみた。するとそこには鳥が転がっていた。
恐怖と不気味さで慌ててドアを閉めた。鳥が扉にぶつかったのだろうか。
そっと扉を開け確認した。既に鳥は死んでいるようだ。玄関に鳥の死骸があるのは気持ちが悪い。仕方なく僕は鳥を庭の隅に埋めた。
それから毎朝カリカリ音で起こされるようになった。玄関を出てみると鳥やウサギの死骸が転がっている。いったいどういう事だ? 誰がこんな事をするのだ。
次の朝、カリカリ音がする前に僕は起きた。こっそりと窓から外を伺っていた。
すると林の向こうから山太郎が歩いて来るのが見えた。口には雀を咥えていた!
山太郎はそっと雀を玄関の前に置くと、扉をカリカリと引っ掻いた。そしてくるりと後ろを向き、林の方へと歩いて行った。
毎朝玄関前にあった死骸は山太郎が持ってきていたのだ。もしかして僕に食べろと置いていっているのだろうか。聞くにも相手は犬だ。話なんてできない。
午後、僕は町に買い出しに出かけた。一週間分の食料と、犬のオヤツという物を買った。鳥たちがもしも僕へのプレゼントだとしたら、お礼くらいしなければと思った。
僕は寝る前に玄関にオヤツをひとつ置いておいた。山太郎は食べてくれるだろうか。
楽しみにしながら眠りに就いた。
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