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朝、カリカリ音で目が覚めた。そっと窓から外を覗くと、もう山太郎の姿はなかった。
玄関を開けてみると、何と今日は蛇が置いてあった。慌てて扉を閉め、そしてそっと開けた。蛇はもう死んでいた。
そしてオヤツは無くなっていた。山太郎は持っていってくれたんだ。
それからしばらく僕と山太郎の不思議な生活が続いた。山太郎は獲物を置いていき、僕はオヤツを与える。直接顔は合わさないが、お互い食料を贈り合う毎日。でも僕は鳥やウサギ、ましてや蛇なんて食べない。毎日埋めるのも大変になってきた。
僕は買い出しの時、ドックフードを買ってきた。そして次の朝、僕は玄関の前で山太郎を待った。
太陽が林の上に現れるのと同時に、山太郎が草むらから歩いて来た。口には山鳥を咥えていた。
「山太郎」
僕が声をかけると山太郎は止まった。
「毎日ありがとう。一緒に朝食食べようよ」
僕はドックフードの入ったお皿を地面に置き、自分はおにぎりを取り出し食べ始めた。
山太郎は少し考えていたが、まっすぐにこちらへ歩いて来た。
玄関前に山鳥を置くと、ドックフードの匂いを嗅いだ。僕が黙々と食べているのを確認するとドックフードに口をつけた。カリカリと小気味よい音がした。
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