決断

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 私は今日も監獄で一人、静かに過ごす。特に抵抗する気はない。どうせ死刑でしょう。ただ、気になるのは病弱の母のことだけかな……。今、どうしているだろう……。  そんな事を考えていたら、担当の人が来た。 「エリーナ。面談だ。出ろ」  私は呆気にとられた。私に面談って……。一体、誰だろう?  私は担当者について行き、面談室へと向かう。面談室に入ると、曇りガラスの向こうに人影が窺えた。 「初めまして。エリーナさん」  影の男は親しそうに話しかけてきた。 「率直に申し上げます。エリーナさんの連邦への選出がきまりましたので、ご報告にきました。今後は、暫くの間、エリーナ星の高等部で教育を受け、戦闘訓練を受けて頂きます。連邦から帰還後は富裕層での生活がお待ちしております」  担当者は淡々と説明を続けた。私にとっては、全く想定外の話に驚かざるを得なかったが、私にとってはどうでも良いことだ。このまま死刑で構わない。私はそう思っていた。 「お断りいたします」  私ははっきりと答えた。 「確か、お母さんがいらっしゃいましたよね」  担当者はいきなり、私の母のことを振ってきた。 「今、エリーナさんのお母さんは、エリーナ星の最高の医療機関で治療を受けています。病気が完治するまでそこの病院でお預かりすることになっています。ただ、この件はエリーナさんの返事によっては変わってきます」 「変わるって、どういうことですか」 「エリーナさんの返事によっては、お母さんは即、退院となり、元のお住まいに戻っていただくことになります」  私は驚いて言葉も出なかった。  私が良い返事をしなければ、母が不幸になる。そう言う事なのか……。  国家権力が人質を取って、私を服従させる。こんな事が実際に起こっているかと思うと、怒りで身体が爆発しそうだった。 「卑怯者!」  こんな言葉しか出てこなかった……。  結局、私は従う事にした。母が元気になるかもしれない。それは、それで良いことだ。私が連邦に行けば、母には富裕層の生活が約束される。それに、私も帰還後は無罪放免の上に富裕層の生活が待っている。  悪い話じゃない!  連邦でお勤めを果たしてくれば、私は自由になれるのだ。連邦勤めは盗みと警官を十人殺した罪の罰だと思えば良い。私はそう考え、連邦へ行くことを決断した。
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