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今日の戦闘はいつもと比べると激しかった。やる気のない私ですら五人の相手を倒したのだから。内二人くらいは死に追いやったかもしれない。連邦側でも死人が出たくらいだ。
私は戦闘を終え、一人、連邦のロビーのソファーで寛いでいた。
「隣、いいか」
狼のようなルックスの男。バズソイヤーだ。彼は惑星バスドラの出身。そこはエリーナ星と同じく重い重力によって守られている星だ。また、彼は貧困層の出で、地下格闘技の選手、しかも犯罪者と経歴は私と一緒だったこともあり、意気投合するのに時間はかからなかった。ここで出来た初めての友人だ。
「良いわよ。今日は激しかったわね。こっちも死人が出たようだし」
「そうだな。けど、戦死すれば、ご帰還だ」
「戦死して帰還か……私は絶対に生きて戻る」
「生きて戻る。あり得ないよ」
バズソイヤーは軽く笑いながら答えた。
「あり得ない?どう言う事なの?」
私ははっとして聞き直す。確か、無事帰還すれば、富裕層の生活が待っているとの約束の筈だ。
「知らないのか。戦死以外の帰還はありえない。俺はここに永くいる奴を何人か知っているが、いつになっても帰還命令はでない。それに生きて帰還した奴がいるって話を聞いたこともない。要は、国に上手く騙されたってことだよ」
「そんな……」
私は言葉を失った。私はバズソイヤーにここに来るに至った話を聞かせた。
「俺も同じようなことを言われたよ。恐らくお前のお母さんは、その医療機関で治療を受けていない。確認をしていないだろう。国に嵌められたな。ここにいる連中は殆どがその口だ。中にはしっかりと選出された人もいるがね」
バズソイヤーは淡々と答えた。
あの時の話が全て嘘ってことなの。それじゃ、母は今頃……。
もう死んでいるかもしれない。廃屋のような小屋で、一人で寝たきりの状態だったから……。
結局、富裕層の生活を夢みた私がバカだったってこと!
私は怒りに震え、両手で激しく拳を握る。
「悪かったな。変な話をして。諦めるしかない」
バズソイヤーは私の肩に手を当てる。
「ふざけ過ぎていないこれって……脱走するしかないかな……それとも……」
「それともって、何をする気だ」
「連邦をぶち壊してやる!」
「面白い事をいうな」
バズソイヤーは大声で笑い出した。
「私、真剣なんだけど!」
私は両手でバズソイヤーの胸ぐらを掴む。
「待てよ。怒るな。俺もここにいつまでもいる気はない。そうだな……せこく脱走をするくらいなら、思いっきりでかい事をやって、名を馳せるか。エリーナ。その話、乗ったぞ!」
「いつやるの。いくらでも協力をするわよ」
私はバズソイヤーに真剣に問いかける。
「焦るなよ。俺達二人じゃ無理だ。まずは仲間を集めよう。ここは犯罪者の集団みたいなものだ。上手く仲間を集えば、意外と簡単に事は進むかもよ」
バズソイヤーは自信を持って、私に答えた。
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