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なぜなら、マリアと判明する前から、優星はすでに惚れていたと思うからだ。 小さい頃から女の子にモテていた優星にはわかる。下心があって近づいてくる女性の惨さが。大人になって、社会的な身分が加わって、それはさらに加速したと感じる。 優星の欲する精神的な自立とは、自身の軸をしっかりと持ち、他人に依存せずとも考えて行動ができ、干渉をし合わず、要求ばかりを突きつけないことを意味する。 心根がしっかりしていない女性は、色仕掛けをすれば男は落ちると思い込んでいたり、おねだりばかりして礼も言わない等、礼節に欠ける。その上、与えられることを当然と捉え、不満ばかり並べ立てる。優星に近づいてくる女は大概がこの種の女だった。 マリアにはそれが全くなかった。媚びを売らないどころか、見た目と違って遊び慣れておらず、何も欲しがらないし、何かしてやると感謝する。そんなところが新鮮だった。優星の求めていた、精神的に自立した女性の典型、それがマリアだった。
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