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マリアは後ずさりをした。しかし、ミユは刻一刻と近寄ってくる。 「なんでみんな、お前ばっかりに注目するんだよ!なんでお前ばっかり一番なんだよ!なんでお前ばっかり幸せになるんだよ!」 ミユは罵り続けている。 幸せ?私が? 母から金をむしり取られ続けているこの私が? 事務所から身売りを強要されたこの私が? 北原にセクハラまがいの嫌がらせを受け続けていたこの私が? ミユから要らない贈り物を受け取り続けていたこの私が? モニカの恐怖に脅え続けていたこの私が? 誰かからの怪文書と週刊誌の記者につけ狙われるこの私が? 優星に愛されているひと時だけが、唯一の私の安らぎなのに...。 神様、ほんのひと時であっても、私が誰かに愛してもらう時間は、許されない禁断のひと時なのでしょうか? 私は優星の美しい容貌に惚れたわけではない。 私は優星がお金持ちで社会的な地位が高いから惚れたわけではない。 優星の底抜けの優しさや器量の大きさ、包み込んでくれるような理解力の高さと頭の良さ、社会で果たすべき自分の役割に対する考え方、といった人間性に惹かれたのだ。
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