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贅沢したいと思っているわけではない。ただ、一緒に過ごしたい。それだけだ。 神様、そのささやかな幸せであっても、私は掴んでいてはいけませんか...? 「もう、いいから、さっさと死ねっ!」 「ミユ、やめて!」 閃光の走るスタンガンを喉元に突きつけられ、赤黒く変色したナイフが頭上に翳される。マリアは反射的に目を閉じ、視界からミユを追い出した。 カーン、という金属音が鳴り響いた。 そして、静寂が舞い戻った。 おそるおそる、マリアは瞳を開けた。 「えっ...?優星...?」 ナイフを握っていた手の平を痛そうに丸めていたミユの背後に、シルバーのスーツを着た優星がいた。 見れば、マリアの足元に、ミユの握っていたナイフと、非常階段の扉の前に落ちていたライターが転がっている。 「コイツがお前の男かよ!ってか、桜井優星じゃん!お前、どんだけーっ!」 最後の悪あがきをする害虫かのように、高くて耳につく嫌な声で、ミユは叫んだ。 「邪魔すんじゃねぇよ!お前も一緒にまとめてあの世に送ってやるぞ!」
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