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「すごい!さすがサッカー部!カッコイイ!」 「昔取った杵柄ってやつかな。これでも県大会の決勝まで行ってるからね」 マリアは顔を上げて、優星の瞳を見つめた。 「遅くなっちゃって、ごめんね」 「ううん。マリアこそ、大変だったよね。怪我はない?」 「大丈夫。無傷だから」 そのまま二人はまた少し抱き合った。そして、どちらともなく、徐に顔を寄せ、瞳を閉じた。 マリアと優星は唇を重ねた。 無心で。無意識に。自然に。 カシャッ! まばゆい光が二人を漁網のように捕らえた。 「やった!撮ったぞ!『La reine』初のスクープ、センターマリアの熱愛発覚!桜井優星とのキス画像!」 「桜井優星、謎の婚約者は『La reine』のマリア!これは売れるぞ!今井、編集長に連絡だ!」 マリアは頭が真っ白になった。 いつのまにか、この空間に『週刊文鳥』の中山と今井が忍び込んでいた。お互いの唇を貪り合うことに夢中で、マリアと優星は全く気を払っていなかった。迂闊だった。
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